コラム
看護師の皆様に役立つ情報や知識を定期的に更新しています。
医療現場での実践的なアドバイスから、キャリア形成に関するヒントまで、幅広いトピックを取り上げています。
「ほっとする時間〜いつも美看と元気を」
2013.03.292012年4月。陸前高田市に住む少年のサッカーボールが海を越え、国を超えて、アラスカ湾のミドルトン島で発見されました。3月11日の津波で流されたサッカーボールが、長い時間を経て発見されたのです。苔が生えそうだったボールをアメリカ人が発見し、中身を見て、日本のものとわかり、ニュースとなって日本に届いたのです。
そのボールは少年の宝物。小学生の転校時に、友人らが寄せ書きしてくれたボール。当時、少年とその両親、拾った人たちだけでなく聞いた人までも喜びに包まれたあたたかいものを感じた出来事だったように記憶しています。皆さん、覚えておられましたか。
少年と拾った人、寄せ書きした友人と少年、少年とサッカー、時間と時間をつなげた出来事。これは特別な出来事じゃなく、震災後、きっとあちらこちらで心にあかりを灯してくれる出来事が起きていたと思いますし、今も起きているのだと思います。
『いまは何時ですか?』
夜勤明けのけだるい昼下がり?勤務を終えた真夜中?通勤途中の電車の中…?
最近はパソコンやスマホ、携帯がないと生きていけないくらいネット社会ですね。そう言えば、選挙もネット解禁になったとか…便利?な時代です。
はじめまして、夏井真琴です。
看護、教育、情報発信…の仕事をしてきました(います)。詳しい自己紹介は…またゆっくりさせてください。これから、ときどき、美看にお邪魔します。よろしくお願いいたします。
『さて美看』
このサイトは、看護に真剣に取り組んでいる方々が日頃ぶつかる悩みや課題に向き合うサイト。どのコンテンツも現場に役立つもので、その分少し難しいものを扱うようですね。ですからこのコラムでは、やわらかい時間を共有できれば嬉しいです。癒されたかも、くすっと笑えちゃう、ちょっぴり勇気や自信がわきそう…そんな「元気ほっとサイト」になれば嬉しいです。
コラムスタート
そんな第1回目。取り上げたテーマは「東日本大震災」と「人が学ぶということ」。
「え?癒しとか言って、固い話じゃん!?」という声が聞こえてきそうですね。そういわず、少しだけお付き合いください。
ただ…まだあの日から2年しか経っていません。思い出したくない人もいらっしゃると思います。だからとても迷いましたが…やはり大事な震災のことしか浮かびませんでした…ごめんなさい。
私も夜中の電気を消せるようになったのは2年後、5年間は震災直後の映像をちらっと見ることさえできませんでした。阪神淡路大震災を経験した時のことです。
怖かったし、怖さは今も身体が覚えていて、東日本大震災の時は、何かが一気に身体を駆け巡ったのを覚えています。
でも、だからこそ、怖さを伝える力にかえて、次の人たちに、こどもたちに、まだ見ぬ人たちに伝えなきゃいけないような、いま、そんな気がしています。
しんどい方は無理して読まないで…次回、ご一緒ください。次回は目一杯、ほっとタイムしていただけるお話を用意します!!
【学びと災害】
先日、成人学習のお話を聞く機会を得ました。その中で「ディスジャンクシャー(断絶、例えば災害時などもこれにあたるらしい)が大きな学びになる」と話がありました。でもそれは究極で、人間にはもっと日常に学びがあり、それらを大事にしよう、といったように私には聞こえました。自然の現象とはいえ、ヒト・人類への警告もあるのかも、と思わざるを得ません。
【経験】
2011年3月11日金曜日14時46分、「それ」はやってきました。
マグニチュード9.0、震度7を有に超える巨大地震。そしてその後、人々の将来を大きく変えた津波が襲ってきました。
私はそれを震源地から遠く離れた場所で遭遇しました。震災を経験していたので、体感した揺れ(たぶん震度3くらい)とテレビからの情報ですぐに「それ」の正体、その「出来事の大きさ」を理解しました。
「大変なことが起きた…」。
アドレナリンが全身を巡るのがわかり、同時に妙な冷静さが入り交じった独特の感覚を今でも覚えています。それからは多くの方々が今日まであちこちで語られていますね。…皆さんはその時のこと、どれくらい覚えていますか?
あれから、丸2年が経過しました。メディアは「3.11」をめがけて報道しています。阪神淡路大震災のあともそうでした。3年、4年、と経つうちに取り上げられる回数が減っていった記憶があります。
今回は少し違いました。一部の報道機関では、毎週定期的に継続して取材を続けられ、情報を伝えたり、皆が考える時間を創出していました。「忘れない」ことへの反省…。
被災された(した)方にとって、3.11は「またあの災害がおこるんじゃないか」と恐怖になることはあっても記念日的感覚はなかなか持てないような気がします。私も、1月17日が近づくと、暗い夜が怖かったり、無性に悲しくなったり、理屈では言い表せない感覚をもちました。今でも、なんとなく重い気持ちになってしまいます。これはきっと生きている間、そうなのかななんて思います。
でも、ちゃんと忘れることもできています。非常食など「あ、どこにしまったっけ?」と探す日が来るくらい。トラックが近くを走って建物が揺れても恐怖感は随分減りました。
驚いたことが一つあります。
3.11の経験が私の背中を強くおしてくれたのです。
どんな経験か…小さなことです。揺れた瞬間、建物の中に居ましたので、目の前にいた方々に「ご無事ですか」「ドアを開けたままで!」「気分悪い方はいらっしゃいませんか」など声をかけていたのです。もちろん、被害のない地域でしたから安全がわかればそれぞれ自宅へ戻られるのを見送って終わり。その後は、「今後何が想定されるか」「そのときどうしたらいいか」何度も何度も頭の中でシミュレーションし、数日を過ごしたことを覚えています。
そして。それまで全国で災害が起きても「フラッシュバックみたいなのになるんじゃないか…」と怖くて出向くことができなかったのに、今回、「ちゃんとこの目で、この肌で現場を感じなければ」という強い思いに駆られ、東北に出向くことができました。そこで見た光景は声も出ないものでしたし、もっとひどい状況のところがあったかと思うとただ、祈ることしか思いつかなかったですが…。
不思議なことに、阪神淡路大震災の時の無力感、罪悪感が、さーっと(ほんの少し)和らいだのも事実です。カチコチにこびりついていた何かが落ちるような感覚…
人間は経験というものを通して、超えられなかったものをこえたり、小さな勇気がわいたりすることを実感しています。これが学びとでもいうのでしょうか。講義を受けることでも、本を読むことでもなく、経験が人を成長させる…今回は偶然起きたことですが、その「(小さなことですが)成せた」ことが、後の私の行動に少しずつ変化をもたらしてくれたのです。
【災害への備え】
先日、ニュース番組を見ていたら、次起こるとされている南海トラフ巨大地震の報告がありました(表参照)。東日本大震災の10倍も20倍もの被害が想定されるそうです。それって…日本沈没!?と思わずテレビ画面に向かってつぶやいていました。
天災は忘れた頃にやってくる。
忘れません。でも、受けたからだやこころの傷を少しずつ忘れる力を人間は備えています。ただ、自然からの教えを私たち「ヒト」は無視することはできません。発災直後、数週間後、数カ月後、数年後…人間はどんなことも乗り越える力を持っていると信じています。でも、人により受け止め方、過ごし方、元気への道のりは様々。2年でほぼ元通り、という方も入れば、18年経過したいまでも子どもや孫を失い、生き残った後悔や罪悪感に苛まれ過ごしておられる方もいらっしゃいます。看護師自身も被災したり、大切な家族や友人・知人をなくしている人も多くいます。
そんな災害を看護師はどう受け止め、何をすればいいのでしょうか。看護師だって人間です。何もできず、ただ呆然と時を過ぎるのを待つだけの時もあると思います。その中で看護は何ができるでしょうか。何をしなければならないのでしょうか。
人間は強いけど、つぶれそうになることも、壊れそうになることもあると思います。
そんなとき、看護師がその人の隣に居て、看護の力で、看護のこころで、何か一つでも、誰か一人にでも、役立つことができたなら、それは専門職としての誇りにつながるような気がします。そして、「今」その力を発揮できなくても、私のように、15年も経ってようやく「何か」ができ、看護師としての自信を取り戻せそうな人間も居ます。
焦らず、でも自分が看護師であることを決して手放さず、自分の力を信じて前へ進みたいものです。私たちは病気や障がいを持つ人々に対し、専門の知識と技術と態度でもって仕事をすると免許を得たときに覚悟したプロフェッショナルですから…。
水や懐中電灯や靴などもそうですが、もしかしたら一番の備えは「自分はどう生きたいか」を常日頃から考えることなのかな、と思ったりします。生きていくために、今日の経験を知にかえ、自分の血や肉とし、明日につなげる…その繰り返しが大切、、、そんなことのような気がします。
【さて、このコラム】
この東日本大震災という大きな出来事は、日本人にとって、医療職にとって、看護職にとって、大きな意味を持ったでしょう。「そのとき」の経験(思い出したくもないことも多いかもしれませんが…)が、今は自分を苦しみに追いやっているかもしれません。でも必ず力に変わる日が来ると思います。人間にはその力を備わっていると信じています。経験から学ぶことは本当に多いし、そしてその積み重ねが、自分を一歩、いえ半歩、歩けるよう背中を押してくれます。
熱い気持ちで、本気で悩み、本気で苦しみ、本気でぶつかるからこそ、癒し、ほっとする瞬間、小さな光のことを…大切に思えるように思うんです。
……今回は少し重い話題を取り上げさせていただきました。
次回は…いま考え中(笑)。こころを込めて伝えます。よかったら楽しみにお待ちください。
さぁ、夜勤明けの方、日勤でへとへとになった方、今日もよく頑張りました!。ご褒美においしいハーブティでも飲みながら、ゆっくり休んでください。今から出勤の方、重だるいからだをひきづりひきづり…かもしれませんが、今日も一日がんばりましょう!
美看編集部 夏井真琴
