コラム
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2019.03.24
新しい出発
平成がもう少しで終わる。イチロー選手が引退を発表した。
自分も職場が変わる準備を始めた。日本だと、3月は別れや終了の時期だが、同時に新しい出会いと出発の時期でもある。今の職場で2年と半年を過ごしたことを振り返ると、「自分が学んできたこととは違うこと(本来やりたかったこととは違うことであっても)に誠心誠意やってきた」とはっきり言い切ることができる自分がいた。だれかに認められなくても、私自身がこの2年と半年を認めることができたことに、今はうれしく思っている。
これまでもこれからも、一番私が好きになれない言葉がある。それは「うらやましい」という言葉だ。人はそれぞれに、生きてきた背景が違う。今の一点や、その人にある一点だけを見て(知って)、「うらやましい」と思うのは何か世界が狭くはないか? と思ってしまうからだ。
その人の何を知っていて(どんな努力を知っていて)、その言葉を言えるのか。私は、他者が持っている秀でた部分や、行える技術や、持っている知識の裏には、他者には知りえない努力や苦悩が隠れているのだと思っている。だから、「うらやましい」という言葉は、20代になってからほとんど使った記憶はない。随分前のコラムにも書いたが、他者と比べるのではなく、自分自身の過去と今の自分を比べることで、自分の成長を確認していきたいものである。イチロー選手が、引退会見の質問に答えた内容でも、「他人より頑張ったということはとても言えないですけど、自分なりに頑張ってきたとは、はっきり言える・・・」ということを言っていた。他者の頑張りを自分の物差しで測ることはできないこと、自分自身の頑張りは自分自身で評価していけること、他者と自分自身を尊重した物事の見方や考え方が現れていたと思っている。
新しい年度、和号、環境、役割、出会いがある中で、他者と自分を尊重できる時間をスタートしたいと思っている。自分のやりたいことだけでなく、全体のバランスを考えながら、そこに関わる仲間たちと、新しい一歩を着実に進めていけるようにしたい。
私が書くこのコラムも、これで最後だ。1月分をスキップしてしまったことに、大変申し訳なく思っていると同時に、これまで読んでくださった皆様に心より感謝している。また、この機会を与えてくださった関係者の皆様にも心より感謝申し上げる。
東京ベイ浦安市川医療センター 集中ケア認定看護師/米国呼吸療法士
戎 初代